JPCATの活用法

 

本ページでは医療機関の質改善におけるJPCATJapanese version of Primary Care Assessment Toolの活用法を紹介します

(※研究を主目的とする場合には、異なる方法を用いることがあります。)

Patient ExperiencePX主として医療機関が取り組む質改善の課題設定に役立ちます

 

 データの収集 

JPCATを使用したデータの収集においては、以下の点に留意が必要です。

1) 対象患者の選択

 調査対象患者のサンプリングは、本来無作為抽出が望ましいですが、大きな手間がかかるため現実的ではありません。

 そこで、一定の期間(例えば3日間や1週間)に受診する全患者を連続サンプリングする方法が、最も適していると考えられます。

 あくまでも目安ですが、回収数は施設当たり70以上を目標にすると良いでしょう。

2) 質問項目の追加

 JPCATの項目に加え、総合的評価に関する質問項目を加えることを勧めます。

 例1.「全体として、この医療機関に点数をつけるとしたら何点になりますか。」→10(非常に良い)〜1(非常に悪い)の10段階で回答。

 例2.「この医療機関を友人や親族にすすめますか。」→5(ぜひすすめる)〜1(全くすすめない)の5段階で回答。

 総合的評価のデータは、結果を分析する際に有用です。

 その他にも、必要に応じて年齢、性別、社会経済的指標等に関する項目を加えることがあります。

3) 回答・回収方法

 バイアスを避けるため、回答は無記名が望ましいです。

 待ち時間を利用して回答してもらい、回収用ボックス等に患者自身が調査票を投函する方法が、簡便でよく用いられます。

 ただしPXの限界として、疾患等により質問紙への回答が困難な方から情報を収集することはできません。 

 

 データの分析 

JPCAT分析手順の一例を示します。

1) 本ホームページで公開しているJPCAT使用マニュアルを参考に、各患者のドメイン得点と総合得点を算出します。

2) 各患者の結果から、ドメイン得点と総合得点それぞれについて、全体の平均値(=施設レベル得点)を算出します。

3) 以下のJPCAT参考基準値を参照し、自院の施設レベル得点がどの程度のパーセンタイル順位に相当するか確認します。

 パーセンタイル順位が0に近いほど他の医療機関と比較し得点が低く、100に近いほど得点が高いことを示します。​

4) 各患者の結果から、ドメイン得点と総合的評価との相関係数をそれぞれ算出します。

 相関係数はExcel等を使って簡単に求めることができます。

5) 3)で求めたパーセンタイル順位と、 4)で求めた総合的評価との相関係数を用い、Priority Matrixを作成します。

 以下にPriority Matrixの例とフォーマット(Excelファイル、数値を入力するだけで作図可能)を示します。

 Priority Matrixは医療機関における質改善の優先課題を決定する上で大変有用な手法です [1]

 表の縦軸にドメイン得点と総合的評価との相関係数を、横軸にドメイン得点のパーセンタイル順位をプロットします。

 その上で、総合的評価との相関が強く、他の医療機関の結果と比較し得点が低い、優先順位の高い質改善の領域(Top Priority)が何か評価します。

 結果の活用 

JPCATの結果から優先順度が高い領域を特定したら、多職種で結果を共有するとともに、課題を具体化させる必要があります。

その際、他の医療の質に関するデータやPX以外の患者フィードバック(投書やインタビュー等)を組み合わせると、より効果的です。

質改善を実行したのち、その効果を評価する目的で、PXの再調査を行うことも有効です。

PXの活用法についてさらに詳しく知りたい方には、AHRQが公開しているガイド(英語)を推奨します。 

http://www.ahrq.gov/cahps/quality-improvement/improvement-guide/improvement-guide.html

参考文献

1. Agency for Healthcare Research and Qualityhttps://cahps.ahrq.gov/quality-improvement/improvement-guide/improvement-guide.html

 

 

次のページでは、プライマリ・ケアの質評価・向上を目的とした多施設サーベイであるPROGRESSについて説明します。​

Copyright 

日本におけるプライマリ・ケア質評価指標開発研究班

All rights reserved. 

 

 

 

  

連絡先(サイト運営者)

青木拓也

京都大学大学院医学研究科 医療疫学分野

本サイトに関するお問い合わせ

jpcat204[at]gmail.com